女性更年期とは?

更年期とは…閉経の前後約10年間(平均40代後半〜50代前半ごろ)すべての女性に訪れます。
主に、卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することが原因。
この間に起こる身体的・精神的な変化や不調を総称して「更年期障害」と呼ぶ

症状:ホットフラッシュ(顔がほてる、汗をかく)、動悸、息切れ、関節痛、筋肉痛、疲れやすい、
イライラ、不安感、うつ気分、集中力の低下、睡眠障害など

ホルモン補充療法(HRT)とは

ホルモン補充療法(HRT)とはエストロゲンを補うことで、更年期障害を改善する治療法です。
ほてり、のぼせ、発汗などといった代表的な症状に大変高い効果を示します。


症状にお困りのときは、我慢しないで早めに医師に相談し、治療を始めましょう。
更年期障害の治療法にはカウンセリングや運動・食事療法、漢方療法などのほか、ホルモン補充療法(HRT)が行われています。


ホルモン補充療法をお受けになれない方・注意が必要な方

以下に当てはまる方は、ホルモン補充療法をお受けになることができません。
(その場合、婦人科漢方薬による漢方薬治療をお勧めしておりますのでご相談ください)
  • 乳がん、子宮体がんなどがある(治療後の方は、条件によって可能な場合があります)
  • 血栓症の既往がある
  • 心筋梗塞、脳卒中の既往がある
また、以下に当てはまる方は、ホルモン補充療法に注意が必要です。医師とよく相談の上、治療法を選択しましょう。
  • コントロールのできていない糖尿病や高血圧がある
  • 喫煙者
  • 子宮筋腫、子宮内膜症、乳腺症などがある
  • 肝機能が悪い
  • 肥満
  • 片頭痛、てんかん
  • 60歳以上や閉経後10年以上経過している方で初めてホルモン補充療法を受けたい場合

ホルモン補充療法のいくつかの方法

ホルモン補充療法にはいくつかの方法があり、症状や体質に合わせて適切な方法を選択します。

子宮がある方の場合、エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤の両方を併用します。
更年期障害のさまざまな症状は、エストロゲンの分泌量低下によるものです。したがって必要なのはエストロゲン製剤だけですが、エストロゲン製剤だけを補充していると、子宮内膜が増殖し、子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクを高めます。そのため、黄体ホルモン製剤も併用しなければなりません。

  • 持続的投与法

エストロゲン製剤・黄体ホルモン製剤の両方を休みなく持続的に投与する方法です。服用忘れを起こしにくいのがメリットです。

  • 周期的投与法
閉経前の方や、閉経して間もない方の場合、持続的なホルモン投与では不正出血が起きやすいです。
不正出血が数週間にわたって続いてしまうこともあり、ホルモン補充療法を断念する大きな原因になっています。
そこで、ホルモン補充を利用して定期的に生理のような消退出血を起こすことで、子宮内膜をリセットし、不正出血を起こしにくくした方法が「周期的投与法」です。
周期的投与法では、子宮内膜がんの発症リスクが上昇するのではないかという報告がありますので、閉経してある程度時間が経過した場合には、持続的投与法への切り替えも考えます。

子宮を摘出している方の場合は、エストロゲン製剤のみの補充で問題ありません。エストロゲン製剤を、休みなく持続的に補充し続けます。

ホルモン補充療法の副作用

ホルモン補充療法の副作用は、使用薬剤によって頻度は異なりますが、どの薬剤を使った場合でも、おおむね数ヶ月以内には副作用はおさまってきます。
 
  • 不正出血
  • 乳房の張り、痛み
  • 下腹部痛
  • 吐き気

副作用が長引く場合には、薬剤の種類を変更することで和らぐ可能性もあります。症状については、医師とよく相談しましょう

プラセンタ療法

ヒトや動物の胎盤(プラセンタ)から抽出されたエキスの有効成分を、注射・内服などにより体内にとりこむ治療の総称を『プラセンタ療法』といいます。
当クリニックでは市販のプラセンタ(動物由来)とは異なり、医療用医薬品として厚生労働省から認可されたヒト由来のプラセンタ注射薬(メルスモン)を使用しております。ホルモンなどの生理活性物質やタンパク質は製造過程ですべて除去されるため、プラセンタ注射はホルモン製剤ではないので安心いただけます。
プラセンタの素晴らしい点は多くの薬理作用が合成医薬品のように過剰には作用せず、本来女性に備わる生理的機能を復調・正常化するので副作用の心配がほとんどないことです。

プラセンタ治療の副作用

保険の適用が認可されてから 45 年、これまで一度も重大な副作用は報告されていないといいます。
人工的に作られた薬と違い、人間の本来もつ力(自己治癒力)を促進させるのがプラセンタの力です。

プラセンタ療法の具体的な流れ

  1. まず初診時に下記検査を施行して更年期障害の診断をします。

    • 器質的疾患を除外するための一般血液検査
    • 甲状腺機能検査 TSH、FT4、FT3
    • 女性ホルモン検査:卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、エストラジオール、プロゲステロン

     

  2.  再診時に、上記結果を説明させていただき、プラセンタ注射を行います。

     

  3. フォローアップ検査 ※6ヶ月毎に必ずお受けいただく必要があるので、ご了承ください。
    • 女性ホルモン検査:卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール
    • 医師が必要とする血液検査

おすすめスケジュール

プラセンタ注射はとても効果的ですが、効果発現に必要な時間は人により様々です。体調の悪い初めの頃こそ間を置かずにお通いください。
最初から注射の間隔を空けますと、素晴らしい効果を実感できないまま残念な結果となってしまうおそれがあります。
そこで、最初の2か月間ほどは、週に2回ないし 10日に3回程度がお薦めです。2か月ほどするとかなり体調がよくなります。